PORSCHE TOYS


ポルシェ特集 2008/12月号
エドカーが残したもの


 マイストのミニカーだと思って裏を見ると「EDOCAR」というブランド名が刻まれていることがたまにある。それは確かにマイスト製であるが、紛れもないエドカーという名前のミニカーなのである。エドカーは、マイストがMCトイだった頃からOEM供給を受けて独自のブランドとして販売していた。シャーシにはエドカーの名と、マイスト版にはない年号と品番が刻印されている。ラインナップにはマイストの他にもヤトミン、近年ではリアルトイやゴールデンウィールも確認している。
 少なくとも80年代からOEMによる3インチミニカーのラインナップを持っていたエドカーだったが、突然の倒産という知らせが2007年に入った。


Autoart, Edocar, Hayakawa Porsche 911(996) Turbo

Autoart, Edocar, Hayakawa Porsche 911(996) Turbo

3台の996ターボ
 この3台の996ターボはそれぞれ別の形で売られたものである。どれも非常に良く似ている。特に青と赤はほとんど違いがない。シルバーはミニカーコレクターなら知っている(?)オートアートである。

Autoart Porsche 911(996) Turbo
Autoart
 1/64で最高のクオリティを持つオートアート。このスケールを作り始めた比較的初期の製品であり、まだタイヤがプラスチック製である。この996ターボは色違いの赤と共に2003年頃に出た。
Edocar Porsche 911(996) Turbo
Edocar
 マイスト製ではない衝撃のエドカーの新作。2006年に初めて存在を知った。箱には2005と書かれている。他にも同様な作風のニューモデルとしてニュービートルRSiやBMW Z8などがあり、この996ターボも含めてオートアート版とよく似たモデルだった。しかしオートアートには存在しないカイエンやアウディTTのDTMマシンなどもあった。このような新作が続々と出た直後のことだったので、倒産は余計に驚きだった。
Hayakawa Real Carriercar

Hayakawa
 そしてエドカー倒産後の今年2008年。日本でこのキャリアカーのセットを見つけた。発売元は今までも数々の3インチミニカーを扱ってきた早川玩具である。キャリアカーの付属品は知る人ぞ知るレア物の生息地になっている。これに入っているミニカーは、MCCHでも話題になったエドカー金型のモデルだ。


Autoart, Edocar, Hayakawa Porsche 911(996) Turbo

フロント比較
 オートアートと、他の二台には細かい違いがいくつもある。まずヘッドライトの処理のレベルが全く違う。エドカーと早川版はクリアパーツを付けた「だけ」という作りで、ボディ色が透けて見えている。ホイールもオートアートではディスクブレーキがあるが、他の二台にはなく、スポークの形状が若干異なる。よく見るとフロントのエアインテークにスリットが再現してあるオートアートに対し、他の二台は表面がフラットだ。ウィンカーのモールドも違う形をしている。

Autoart, Edocar, Hayakawa Porsche 911(996) Turbo

リア比較
 右の二台のドアハンドル、サイドのエアインテークはどちらもオートアートの劣化コピーのようだ。そして最も大きな違いがここにある。テールライトがクリアパーツ化されているか、それともボディと一体かの違いである。右の二台はリアウィングのパーツが成型色のままになっているためチープな雰囲気が漂う。

Autoart, Edocar, Hayakawa Porsche 911(996) Turbo Autoart, Edocar, Hayakawa Porsche 911(996) Turbo

上と下の比較
 三台ともプロポーションはほぼ一致している。しかし内装部品の造形も、似ているようでオートアートと他の二台では微妙に形が違う。ここまで比較してみてエドカーと早川はほぼ同じものであることが分かった。この二台の違いはシャーシにある。エドカーのシャーシ裏はオートアートを大雑把に再現しているが、台座に留めるための穴が開いていない。しかし穴の跡と思われる丸い部分は残っている。早川はエドカーとだいたい同じだが、エドカーの刻印が消え、違う場所に穴が開けられている。それ以外はMADE IN CHINAの刻印まで全く同じである。



Hayakawa BMW Z8, Porsche 911(996) Turbo, Audi TT

早川キャリアカー付属品
 キャリアカーの付属品たち。黒はBMW Z8、白はDTM仕様のアウディTTだ。いずれもエドカーとしてリリースされたことがあるキャストだ。エドカーでリリースされたミニカーの金型はそれぞれ製造元のメーカーが保有していると思われるので、エドカー亡き後もこうして作られることは決して不思議なことではない。問題なのは一体誰が作っているのかということだ。オートアートの廉価版モデルなのか、それとも他メーカーによるコピーモデルなのか。実はエドカー初(?)の自社製モデル(倒産後に金型売却)だったという線もある。

Hayakawa BMW Z8, Porsche 911(996) Turbo, Audi TT シャーシの違い
 オートアートにあるZ8と996ターボ(左二台)と、オートアートにはないアウディ(右)にはシャーシに違う特徴がある。Z8のオートアート版は持っていないので比較できないが、これにもネジ穴を埋めたと思われる丸い部分が残っている。一方のアウディのシャーシはフラットで刻印のサイズも違う。だがシャーシがフラットなのはレースカーだからというだけかもしれない。
 どれもエドカーのロゴを消した部分が四角く残っている。


 この赤い996ターボは海外でもCITY RUNNERという名前のシングルパックで売られているらしいです。他の仲間のモデルも同様に流通しているよう。しかしここで紹介したものとは違って車のエンブレムが付いたものになっています。
 これらのモデルがもしエドカーでしかリリースされなかったとしたらかなりレアな存在になってしまうので、こうして他の形で売られるのはありがたいことです。しかも早川のように日本向けのパッケージもあるので、これからも国内で入手する機会があるかもしれません。この一連のモデルの中にあるカイエンは3インチで唯一のノンターボ・モデルであり、非常に気になっています。

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